宇宙のものまね(1)/吉岡ペペロ
 
カゴにはヨシミのなんでもバッグと花束をさした

あたしの住んでる町、案内してあげる、

自転車に乗るようになってからだった
案内したい場所がたくさんこの町にあることを見つけていた
それはユキオを、ではなくいつもカワバタを、だった

おおきな葉っぱの街路樹のしたでやすんだ
カゴにさした花だけがちがう夜を見つめているようだった
外灯が暗いオレンジいろだった
車道いちめんに外灯の影がゆれていた
雨のまえみたいなふとい風が吹いていた

ゆれてるの光なんか影なんか、ふしぎなかんじだな、

そうだった
カワバタはいつもヨシミが言葉にできないことを言葉にしてくれた

タイに
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