夜の飽和/真島正人
溶け合うような気がした
そのとき
確かに放射される熱が
あるような気がしたんだ
放射される
温度を持つ何かが
あの瞬間を
切り抜き
この脳に残し
永遠は
永遠として
時間とは別の位置で
生命としての呼吸を
ループする(おそらくは、きっと……)
ちかちかと
星が光っていればよかった
繰り返しが
時間の進行と
引き換えなのだと
暗示させるものがあればよかった
だがあの夜には
それがなかったので
それをこの瞳は
見なかったので
放射されている
熱だけがすべてだった
感知のすべてを
しのぎ圧倒
してしまった
涎よりも
濃厚に
あらゆる層を
べちょべちょと
這い
その瞬間を
止めてしまったんだ
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