夜の飽和/真島正人
 
放射される熱を
感じていたんだ
夜更けの草原に
寝そべって
仲のいい
グループで
語らいあった
見上げた空には星
点滅しないきらめき
声が聞こえていて
声は聞こえていない
放射
されていたんだ
なんとも言えない
口では
表現の出来ないものが

空想は
空想ではなくなり
どんなことでも
出来そう
嘘とか本当とかの
区切りが馬鹿馬鹿しくなり
脳が
感知度を放棄したんだ

だから
手は握らなかった
手を握ることそのものが
意味を失ったような気がした
空気のように
呼吸が
別の意味に摩り替わり
体ごとの発熱が
胎盤よりも
深い絆で

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