十月はじめの/光 七清
 
君が忘れることを忘れたので
立ち止まることしかできない
ぼろぼろの沢山が
腕の隙間から逃げていった
立っているのは、足だよね、二本しっかりと。
しゃらららんとなる音楽を
りゅうりゅううとなる新しい絵を
ぼこりぼこりと険しそうなふりした山越えて
「だ」といいながら受け止めたりした

ねえ、笑って
安心したふりでもいい
そこの君が立っているので
こちら側でも座れないのね
ねえ、笑わないで
泣いたふりして踊るのね

背中に翼の生えた君
くしゃみするしかできなくて

きみのための応援歌だ
ただ、きみのためだけの
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