マングースとハブ/楽恵
彼女は彼を愛していたし、
彼もまた彼女を愛していた。
傍目から見れば完璧な二人だったけれど
どちらも鋭く光る牙を
その身に隠し持っていたから
二人の恋はいつも死闘になった。
顔を逢わせるたび
罪のない彼の毒牙は
彼女の光沢ある褐色の毛皮を切り裂いた。
引き千切られた毛はあたりに無残に舞い散って
エキゾチックな美貌がみるみるうちに衰えていった。
彼女もまた、負けじと彼に噛み付いた。
斑紋した皮膚から血が流れ、若さが剥がれ落ちた。
天から与えられた野性の本能は
お互いを傷つけずにいられなかった。
丸飲みした絶望の分だけ、いつしか生活を支配した。
愛の戦歴が限界まで積
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