七月の揺らぐ景色/
牛
逃げ水の中で魚が跳ねて
アスファルトが柔らかい
太陽は無関心な発光体
空はどこまでも遠く
僕は許されている
「だけど」
「だから」
続く言葉が浮ばない
背の高いひまわりに見下ろされ
蝉の声に儚さを夢見る
(自分の事を嘘つきだと思う)
手に持ったアイスが
溶けてべたつくと
影が笑う
入り口はどこにでもあって
ドアはいつだって後ろで
間が悪いのは
生まれつきなんだ
と
通りすがりの猫にいえば
「そうだね」
と
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