言葉は嘘をつく/相田 九龍
僕の体重で沈むクッション
赤い残像が
まだ眼の隅にチラついている
暗転した部屋
何が起きたのか分からない
あれからときおり
たくさんの音が囁くのをやめたり
残像が色を取り戻したり亡くしたり
テレビみたいに雨が降る 見たことないくらい昔の
何かが消し飛んで
しぶとく生きる機械が点滅を、点滅を、点滅を、やめない
生物みたいな僕が
雨に刺される
言葉は嘘をつく
ギザギザの音像が
意味を持っている
暗いと思っていた明るい空はどんより
体中を電気が走っている
とても弱い電気だから
部屋には何も燈せない
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