我が死亡直前期/キタノ
け、僕は心が失われるのを感じた。もう、仕方ないのだと悟った。自分の死を自覚した。二秒前まで僕の中にあった心がずおずおと消えて、宙へ放たれていく。生命から物に変わる途上、僕は「僕」と呼ばれることも「あなた」と呼ぶこともできなくなる。世界はもうとっくに消失した。僕は世界から跡形もなくいなくなった。僕は小さくなっていく。どんどんどんどん小さくなって、からからに細って、そして最後に僕の心にはただ一つの歌が流れるだけになった。きっとなくなりはしないからさいごまでのこるのはこころきっとなくなりはしないからさいごまでのこるのはこころさいごまでのこるのはこころ。その僕の心は、確実に幸せの色であった。やがて、歌が遠ざかり音が消えていく中僕はゼツメiiiiiiiiiiiii・・・・・×××〜〜〜〜―――――――――――――――――――――――
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