真昼の洋燈 /服部 剛
 
かつてランボオという名であった 
その喫茶店は、真昼も 
赤煉瓦の壁に、洋燈を吊るし 
仄かな灯を、ともしている 

在りし日の作家が 
夭折した友と懐かしい時を過ごした店の前で 
あの日 
たった一人の女(ひと)に愛を告げた僕は 

それから 
嵐を越えて、結ばれた 
感謝の思いに両手をあわせ 
真昼の路地に、立っていた 

吊り下げられた洋燈は 
そよ風に、いつまでも揺らしていた 

昔と変わらぬ面影で、硝子の内に灯る 
朧(おぼろ)なひとつの魂を・・・ 







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