駅前通りの宇宙的考察/あまね
うつくしい季節です
赤い花は風に千々に、
報われないとか
叶わないとか
そんな怨み言とはかかわりなく
身を任せてゆきます
昼下がり、ぼくは自ずから
人並みに戦々
立ち向かい蹴散らさなければいけないという
幻影に苦しめられます
体は一つしかなくて
心は弱いのに
望みだけやけに大きい
そんなとき
うつくしい
空を想うのです
痛みとは無縁に
あたらしい部屋に鍵をかけません
遠くから来た人を迎え入れるだけの
それだけの営みですから
通り過ぎていく旅路の
ほんの一部分ですから
大きな連なりをミニチュアにして、
街は栄えてゆきま
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