黒い猫は巨大な鳩時計を/ホロウ・シカエルボク
内なる獰猛や、不吉な真実、そうしたものが産み出すいっさいの抑揚は、俺の魂のすべてに奇妙な烙印を残す…ろうそくの炎のようなリズム、分かるだろう、それが俺という人間のすべてだ
近くの裏通りをずっと歩いていた、黒猫が巨大で精巧な鳩時計の鳩を時報と同時に喰らいついてやろうとして小さな扉の内側に巻き込まれ首の骨を折って死んだ誰かのアニバーサリー、俺の住処の入口はプリミティブな病みをたたえた赤黒い血液で一杯だ…おまけにそいつはこの上なく凶暴で確かなおしまいの臭いを放ち続けている
昨夜は部屋中に立ちこめるその臭いを吸い込みながら床についた…俺にはその日そんな死に立ち向かうだけの気概がなかったから、こ
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