メレンゲの恋/うめぜき
 



石畳の路
無数の傘がふわっと咲いた
メレンゲの心が少し浮き上がる
赤、白、青と色とりどりの傘の中を
空から鉱山夫達を乗せた汽車が降りて来る
蒸気を吐き出し、漆黒のボディを捻り、
アダレの街に汽車が降りた

ポパイは鉱山夫だ
アダレの街は空に浮く鉱山のお陰で
国でも有数の賑やかな街になった
鉱山夫という自分の仕事が街を支えている
その誇りを汽車からの街の風景を見、感じるのだった
そのアダレの街に今汽車は降り立とうとしていた

色とりどりの傘が男達を出迎える
メレンゲは誰かを待っていた訳でも無かったが
その風景に胸を焦がす
雨に濡れた漆黒の汽車はまるで花
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