紅樹林の入り江にて/海里
力を抜いた片掌に
ちょうど一つずつ乗るほどの
ピンク色したケセランパサラン
夜に開くサガリバナ
夜にだけ
マングローブ林の奥のほうで一晩だけ咲いて
ほたりと朝には
水面に落ちる
流れ下る川の水
河口からの引き潮と上げ潮
風の細波
ゆらゆらどんぶらこ
ゆらゆらどんぶらことケセランパサランたち
マングローブ林の出口まで
紅樹林の入り江まで
それはとても神秘的な光景なので
写真集やガイドブックではわざわざ
「幻の花」
なんて呼ばれてもいますが
実は
集落内の民家やバス停のあたりで
ほたり、ほたりと
踏みしだかれているのがそうです
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