夏至/橘あまね
雨つぶに擬態して空からやってくる
ひとつひとつを
見逃してはならない
空想がはなはだしいので
傘を置いてきた
今頃は線路をたどったどこかで
だれかのものになっている
夏の身体はよく熟して
オレンジ
のはらわたを曝している
置き去られて斜めにかしぐ
その上に
雨つぶに擬態した
ひとつひとつが
着床していくよ
ポコ、ポコポコポコ
ぼくらきのうまでの病んだ身体から
昇華してやっとここまできた
空を経由するのも大変なんだ
夜の花の匂いが地表を席巻しつつある
26時の約束
間に合うかな
いちばん深い夜のいちばん深いところ
あ、待ち合わせが、今
甘い欲望をにゅる、と孕んだようだ
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