蝉時雨/伽茶
 
君が居なくなってから

脱け殻だと感じたけど

今の私はもろ脱け殻だ

幼虫に戻りたかった訳じゃない

国道沿いのポプラの木に登って

ちびっこの帽子で捕まえられたい訳じゃない

況してや威勢良く鳴く雄に見初められたい訳でもない

今の私を表すならば

去年に脱ぎ捨てられた潰れかかった脱け殻で

足なんか膝から下がない感じだよ

それとどこにいるのか見当もつかないんだ

だって私の目は先に飛び出した成虫が持って行ったから

今頃、飛び立った私はどこかの猫に食べられたか

息絶えてツツジの木の下で蟻に運ばれたのかな

何にも考えれないから逝く末はどうでもいい

私は願う

いつか土に還りたいと

誰かの胸に脱け殻バッチになろうが

誰かに踏まれようが

いつか土に戻り

また違う命に変わりたい…

例えたなら

こんな気分だ
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