海の木の葉/はらだよしひろ
痛い喉を掻き回して
僕は言葉を紡ぐ
海峡の向こうの島を
懐古と共に
たぎらせては
静粛の木の葉を
この手にとる
歌よ
波音に掻き消されし
声よ
あなた と照らされた
形容が
僕の肉体に沈み
視線は
誰も知らぬ涙腺が
尽きては甦る地の
囁きにも降るので
沈黙の口が
震えては翳す
小鳥のさえずりを
愛しく思う
ありのままの
古情を
住んでは住めない
徘徊と定住の狭間で
叫ぶ
無い
いや、在る
無くも無い?
そう、無い
そんな現実に
身を委ねても
確かに生きる
生きる時
生きてゆかねば
錆びれた物は
錆びれてはいない
海の大きさ以上に
視線は広いから
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