水のわめき/
信天翁
レースの白カーテンだけが息をしている
独り暮らしのリビング
さざなみを打つ少腹に
組む腕をのせた
うずくまる追憶の入江で
ふと 聴いている
柿の青葉がもたらす
梅雨のミューズの
トレモロを
あゝ それは 何十年前の事だっただろう
与えられた「時」が
ほろにがかったのは
気づかない「空」が
甘ずっぱかったのは
そして いまは 急きたてられている
水がわめく にびいろの四次元に
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