『残さるる』/ま のすけ
 
オバサン達が、

  バスの中最後に歌っていた「今日の日はさようなら」

  6回繰り返したら、記憶と残るか?

  9回繰り返したら、側頭葉の細胞に皺が刻めるか?


  (などと瞬間揺れたとて、

   実際には、そんなことするはずもないのだけれど )


  わたしが、誰かの記憶に残ったろうか

  わたしの微笑みが、記憶にのこってくれたろうか

  わたしの微笑みのウラにあるささやかな哀しさが

  誰かのどこかに、やわらかな共鳴を起こしたろうか

  時間が、時間が、時間が、人が、

  なにかを載せ、なにかを沈め

  遠くへ移動する。

  
  

  *団体旅行という、ある意味「非日常」からの帰還に
   うまれた詩です。
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