キム・ギドク監督 『サマリア』 〜〜ヨルノさんと詩を巡る旅 その2/ヨルノテガム
 






この映画の胸騒ぎ、ドキドキする感じとは何なのだろうと考える 「作者の考えだけではないという感じ」が意味するものとは・・・・・それは話の筋に靄(もや)のように横たわっている〈偶然性〉または〈偶発性〉であった
親友の落下死がなければ 主人公の少女は娼婦の跡を追うことはなく、少女の父親が厳格でひとり娘である少女の援交を知ってしまったがゆえに 金で寝る男たちに狂暴にならざるを得なかった さらに暗黙の理由付けとして 父親が殺人課の刑事という特殊過ぎる仕事で 女が血まみれで殺されるという世相を反映するような事件を解決する立場でなかったら 娘と寝てゆく男たちにあれほど暴力と憎しみを発揮
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