月と骨/水川史生
 
月を投げる所作で骨を嬲る 
あなたよ 
速度を落とし日に暮れ呼ばれ遊ぶあなたよ 
春が待つようにして 白く落ちた嘆きがあるのだ 
知らずして手をやる 水に揺れたのは破片であったか 
例えばの永遠、と名の付く直線に 削られる あなた 
柔らかに耳を 鼓動を穿ち沈黙を制す 
描かれる新しい階段に安らかに身体をもたせ掛けている 
唐突に暴かれる希求から 放て 
抗えぬ暴発を夢見ては痙攣する 穏やかに酸化した 
早々と落ちる昇降機に 断線を突き付ける最中 
溺れるような化学物質を 燻らせて飲む あなた 
さんざめく枯れ枝が 
誤謬を指摘した 晴れ上がる前の昼であった 
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