その瞬間、/灯和
 
 いつもと変わらない日常のはずだったけど
 携帯電話を持つ手が
 なんとなく違和感をおぼえて
 メールを打つのをやめる。
 誰にも縛られたくはないのに
 何かに縛られることで居場所を探す
 私は高校生。
 ホームから見える線路は
 右にも左にも広がるのに。
 少し眩しいディスプレイは
 明日の私のことさえ教えてくれないのに。


 電車の到着を告げるアナウンスが
 ホームに響く。
 携帯電話を投げ捨てる。
戻る   Point(2)