どうせ腐れビッチだけどな/わだち彩子
遠くでノックするおとが聴こえるのをずっと待っている
ドアの向こうの、ドア
夜はさみしいのさ 正常を逆走しているから
その行為に由来するせいめいがうごめいて 無条件に肌色と平熱を待ち望んでいる ためらっている 抱きしめている 足蹴にしている 慈しんでいる 踏みにじっている おなかが減っている
胃の中にあるのは継ぎ足された狂気ときみのだ液だけでいい
凝固するまでは軽率なその病状
きみの唇に劣情を塗りたくり その首を舐めていれば幸せになれるのだと思っていました
こじあけた唇も手放して はじめからがらんどうさ
わたしの手が触れられないきみは有形
透き通らないから
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