森/はるな
かぜのつよい日に
まどを開け放して
ねそべっている
ちいさな
こどもたちは
光の輪を抱いて
右から左から
上へ下へと
舞い上がっている
雨は
そのうち降るだろう
月が沈みはじめるころに
そのころには
せかいは静かによこたわって
こどもたちは
光の輪を降ろし
わたしは
胸のなかから
深い森をとりだす
森は
雨と風とを
すこしずつ食べ
その晩のさいごの
月のひかりを
すいこんで
すこし
また
深くなる
明けがたの
青い空気に
あなたが
窒息しませんように
わたしは
すこし
祈って
胸のなかに
森をしまう
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