ギフト/吉岡ペペロ
 

アイロンがたてる音に合わせて衣類がもとに戻されてゆく
乾いたような湿気たようなほかほかの匂いがなつかしい
アイロンしてくれてありがとう、なんてだれも言わない
きれいにかたどられたほかほかの衣類が、それが当たり前のように日常に飛び出してゆく

カワバタからのメール音

ヨシミはあわててケイタイに手をやった
あつっ、アイロンの余熱に腕があたった
とっさにケイタイを持って流しまでいった
水道水をかけようと腕を見やった
赤い線がひかれていた
氷にしようか、やっぱり蛇口をひねった
浄水を解除してどばどばと腕にかけた
このこともカワバタにメールしよう
カワバタからはあした会いた
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