悲しい音/吉岡ペペロ
 
ンかけたのヨシミだろ、

にごった目でお母さんがにらむ
お父さんがちらっと見てタバコを消し一階におりていった

お風呂はいったら、

姉がそう言うと

おまえはいい子だねえ、

お母さんが冷蔵庫からなにかをだす音がした
食卓にすわってコップにお茶を注いでいた

そろそろ帰ろうか、ユキオがヨシミをのぞいた
出玉を積み重ねたひとがまばらにいるだけだった
いちぶをお菓子の景品にかえてあとは貯玉にした
ホテルまでをぷらぷらと歩いていた
欠けた月がまるで町に住んでいるように見えた
カワバタはいまタイにいる
タイはいまなん時なんだろう
ヨシミはよろけそうになってユキオ
[次のページ]
戻る   Point(7)