生きるカタチ/山岸美香
受けた悪意を憎しみで返してはフモウだ、と
そう言われても、この手は随分前から汚れていたんだよ。
笑われたら怒って
陰湿なことにはそれを返すし、
周りのみんなと
同じように汚れていたんだよ。
大きな力に頼ってでしか物事を解決できないなら
きみはロクな大人にはならない
漫画にそう書いてあった。
冷蔵庫を開けてグラスにお茶を注いで
TVに出る爽やかそうなスポーツマンを見て
こんな風景とは無縁なのかなと思う。
でも多分結局はひとそれぞれの壁や
そこから伸びた影があるのかも、ね
誰も最初から流れるように生きれやしないから
君が僕の腹をつねろうとする
つねるのは刺されるより地味だけど
不健康な色と不快さを残す。
だから君の手にしっかりと釘刺しておいてよかった。
自分の思い通りに行かないと傷ついて怒るから
当たられる前に姿を消すこと。
いつも
一人の場所に逃げていた
古傷が痛んで血が流れていた。
夏場は暑いからひっかいてしまったんだろうか
傷口が熱くてひりひりと痛かった。
こうじゃないと
生きられないから
戻る 編 削 Point(5)