滝と月/吉岡ペペロ
ていたのだろうか、ヨシミは思いをめぐらせた
ハイビームで辺りを照らしながらのろのろと走っていた
もうなんども住宅街のおんなじ道をまわっていた
滝への入口はなかなか見つけることができなかった
オレのやさしさって、ひとに興味を持ってる人間のやさしさだよ、
ユキオは持ってないって言うの?
おまえが決めることだろ、
ヨシミはあまり腹が立たなかった
助手席のウィンドウにずっと満月が見えていた
それはふたりを追跡する見張り番のようにも見えるのだった
あしたからオレ海外だぜ、なのにこんな時間、滝を探してる、
ごたごた言わずに旅行会社なら滝ぐらい見つけてよ、
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