剥き出しの夜に眠る、/黒木みーあ
 
真黒い煙草をひとつ
口に咥える 

黒無地のTシャツ
叩きつけた腕の痣は
白色の地肌を
世界に剥きだしにして


になれば
ケロイドの上
やさしさを詰め込んで
眠りつく容器の
肌触りを吟味する

夢を見ない
長い夜しか
空の身体を埋められない


 *


いつか生まれ変わるという嘘で
指を折る
生きてきた証を
まだ数える程しか
持ち合わせていない

人生、を
静脈と
動脈の違いを確かめてから
花占いで
ひとつずつ摘んでいく

明けていく
日には
かならず誰かが消えていくから
路地裏の暗がりで少しずつ
永遠は
膨らん
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