小さな空/……とある蛙
 
忘れられた小さな空がある。

初夏の風を受けて
駅に続くなだらかな坂道を
歩く途中にある
金網のフェンス越しに

名も知らない花の群生
赤紫の小さな花を
背の高い茎にたくさんつけながら
強い陽光一杯に背伸びする

太陽の光りは強いのだが
駅舎と背の高い草との間に
見える空は青く小さい

ホームにはたくさんの人が電車を待つ
そこから見上げる空も小さい
その空を見上げる人も少ない。

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