sound of silence/山田せばすちゃん
こさないようにそっと
そっと引き戸を開けて
ベッドの上の君は
いつものパジャマ姿で
いつもの寝ぼけ顔で
たった一つだけ
君の横で眠る僕の知らない若い男
それだけがいつもどおりではなくて
それはありふれた結論かもしれない
いつだってどこでだって誰にだって
やってくる種類の結末だったかもしれない
だからどうか
おねがいだからどうか
このままにしてしまおう
終わってしまおう
唇に当てた指を
ゆっくり左右に振って
君に笑って見せようとして
唇が乾いてしまっている
僕は後ずさりしながら
そっと引き戸を閉めて
静かに靴を履いて
鉄のドアを音を立てないよう
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