sound of silence/山田せばすちゃん
お願いだからどうか
どうか君の横で眠るその人を
起こさないように
声を立てないように
唇に指を当てて
僕はおびえた顔の君を眼で制する
そのまま動かないで
なにもしゃべらないで
消し忘れたテレビの光に
映る君の顔を僕は二度と忘れない
だから
お願いだからどうか
声を立てないで
僕はこのまま出て行くから
駐車場に止まる見知らぬ車に
何故僕は気がつかなかったのか
玄関の暗がりで
大きな男物のスニーカーに
つまづいたときに
何故僕はそれを理解できなかったのか
いつものように合鍵を使って
いつものようにそのままあがりこんで
いつものように君を起こさ
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