小鳥とカラス/吉岡ペペロ
 
カワバタの車のなかでヨシミはこのまえ見た小鳥とカラスの話をした
お父さんが山で汲んできた水をポリタンクに入れてお母さんに持ってゆくのだった

まだかわいてねえな、

さんざんドライヤーで乾かしてあげたんだから文句いうな、

カワバタはパンツをヨシミの血でよごした

むかしおばあちゃんに読んでもらった絵本でね、

ヨシミは絵本の話をカワバタにした
インドかどっかの修行僧の話だった
腹がへってるのでおまえの目をくれ、じぶんよりうえの階級の男が修行僧にそう言ったのだった
修行僧は片方の目をとって男にやった
男は目を口に入れてひとくち味わうや
まずい、と言ってその目を吐き出
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