私と子象/within
 
、隙間から出てきたものもいな
いわけではないのだ。お前が心に秘めている
だけでいい。忘れずにいてくれさえいれば、
きっとどこかから現れるだろう。そうすれば、
同じ河に流れることができる。

見上げれば、空は白く薄い雲に覆われ、小粒
の雨が、細長く垂れていた。濡れていく肩に
私の小刻みな哀しみが滲んで消えていこうと
していた。長い時間の中で私は数学に頼るこ
とをやめようと思った。虚数空間から出てこ
られる確率は、私が再びこの町に産まれてく
ることよりも小さいのだから。一筋の奇蹟の
到来を願って、石を積もう。

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