かもしれない/よーかん
 
鏡は嘘をつくようだ

お風呂に洗面所があったから
引っ越す前だ

団地の頃だから
たぶん小2とかそのくらいの頃

「なんでボクはボクの中にいて
 アイツはアイツの中なんだろう」

「なんでボクはボクの体で
 アイツはアイツの体なんだろう」

鏡の中の見つめ返しているボクを
他人を眺めるようにして

繰り返して繰り返し
毎日繰り返した時期があった

もしかしたら
ここは漫画の中で
そこら中にある鏡がコマで

ボクやアイツは
それと他の人間も
漫画の中にいるのかも

手塚治虫先生みたいなヒトの
作った漫画で

鏡みたいな四角い
コマの中で
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