ヒステリカル-ロジック-03 行方不明最先端都市/北街かな
硝子造りの七色都市構造が、瞬間的大瓦解を経験した夜明け
かつてない沈黙と瓦礫の地に、透明な砂がきらめき流れてゆく
ひときわ目立つ明星の下、
青く波立つ薄い硝子板に挟まれて
銀の髪もつ鉄製の精密機械少女はライトグリーンの室温管理用液体薬物を頭からかぶり
右腕と背中と左足首に刺さった硝子のカタマリを引きずり、動き出す
首をあげ
無音を聴き、
まばたきで砂を振りはらい
かつて街だった場所がひろがるのを両の水晶体に焼き付ける。
ことごとく高さを失い へこんだビルは
きれっぱしになり、砂になり、もしくは溶け出して
あちこちに人の死骸や機械人間の手足を畳み込み、閉じ込めて
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