夜めぐる夜 ?/木立 悟
花びらの裏側
紙吹雪を紙は憎んだ
たどりつけるがたどりつけない
たどりつけるがたどりつけない
何もなく明るいものを見ている
無いものをすぎる無いものを見ている
水辺の背がまばゆくまばゆく
ただ入口のように立っている
ほつれた巨大な人形が
地平線に倒れゆく
ゆうるりと
波ひらく波
ほんとうの名前
風とつぎはぎ
ひらいたままの
大蛇(おろち)の空
応えない場所
かがやく手
さらに遠くを
照らし出す手
目にあまるきんいろを
歩いている
きんいろすぎて
何も見えずに
ひとみ ひとみ
裂かれたものを
青に返す
白と白の はざまに返す
応えぬものが手に残り
ずっとずっと響いている
割れたままの渦の空から
夜を夜を抄いながら
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