六月にはなにも書けない/ホロウ・シカエルボク
六月にはなにも書けない
上昇し続ける温度と
いつでも雨を隠しているような
湿度に
脅かされて
六月にはなにも書くことが出来ない
消化出来ないものを胸の内に抱えて
俺は
首輪のキツい飼犬のようにイライラしている
吠えても吠えてもなくならない
そんな人生を選んだ
てめえの責任だと片付けてしまえば
スッキリはするけど楽にはなれない
六月にはなにも書けない
汗ばむ季節は手元を汚すから
なにかを書き始めるような真似はしたくない
だけど
なにかを書いてしまわなければ
たとえば
無為に過ごした休日の後なんかは
カンの
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