語覚だけを研ぎ澄ませて/海里
 
言の葉の海という

楽しげに
きまじめな顔して
ありがたそうに
詩人たちが口にする

いながらにして
日がな一日海を眺めて
語り合っている詩人たち

けれど
漕ぎ出すものたちは

日を測り
星を読み
風を聞き
波を見つめ
貴重な水をオレンジの木と分けあい

土地に住むものたちが知らない
水平線までの確かな距離と
その向こう

360°四方
上下左右前後ろ全てを
海と空だけに囲まれている時の
なお、自分の位置を
向かうべき先へ向かうためになすべきことを
試行錯誤で

五感と心と身体のありったけを使って
知恵と知識の全てをもって

詩の船に詩の帆をかかげ
櫂をにぎりしめ
言の葉の海に漕ぎ出すものたち

さぁ、行きなさい
そして時々は帰っておいで
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