世界は勝手にできあがっている/within
 

並んでいる。燕は電線の上で
待っている。

世界はまだ終わっていない
世界は勝手に出来上がっている

遺言を奏でる楽団がやってくる

私は語らない
光はただ私を通過していく
発語するたびに
私の内臓は軋む
軋みをあげて笑う

仮面の向こうの素顔は
表情のない仏頂面
誰が作ったのか?
木は光と水だけでは生きていけない

僕の視線は君の内臓に届いているだろうか
飛び立とうと羽を広げた瞬間
目の前は平面になる
地平線の向こうは宇宙への道だ
土の肌触りが遠い昔の
夕景をよみがえらせる
真昼の影を消してしまう
いつか帰ってきた宇宙飛行士が
新たな言葉
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