面の家/番田
私は友達のいない幽霊だ
明日のことを苦悩させられている
肉体のない悲しさに疲労させられている
太陽なんて 私は 捨てたのに
牢獄に染みついた 憂鬱だ
昨日から 配布された煙草を吹かし続ける
不自由など考えない
明日すらなく 世紀末を語る私だった
どうなっているんだと 窓を見つめる
幸福は風景からなくなった
未来を ひとり 想像した
ピンク色の表紙の 一冊の書物として
想像を奏で続けるのだ
新緑の葉は緑を塗り込んでいく
キャンバスの中に描かれたマグロだ
巨体はぼんやりと 光っている
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