オレンジいろの汗/吉岡ペペロ
 
還暦をむかえたばかりのお母さんの夢を見た
このまえの夏ヨシミは姉と姉のこどもとお母さんとで還暦の旅行をした
旅先で見た原始てきな川がつよく流れていてそれは前日までの雨で増水もしていたようだった
お母さんは株とパチンコでお父さんに離婚させられて今は警備のバイトをしていた
ヨシミは川に流されていた
立とうと思えば立てるほどの浅さであるのに体中を石にぶつけられていた
ひんやりとした川の流れだ
いや、ひんやりとした川の流れは川ではなかった
川の色をしたちいさな蛇の大群だった
だから立とうとしてもバランスを押し戻されていたんだ
鈴の音がした
石だと思っていたのは蛇の頭だった
川の音が
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