過程/桜 葉一
 
た頃
孤独な人間たちは仲間を求めて幾つかの電話を作り上げた
その電話はとても大きかったが それなりに精巧なできだった
たとえば無線であったし 現在の携帯電話のようなカメラの機能もついていたし
着信メロディーのように音楽を奏でる機能もついていた
さらにすごいのが電話自身が思考し また歩くこともできた
ただ 電話の相手と会話することはできなく
電話に記憶させた言葉を 電話自身に話させることしかできなかった
それでも人間たちは電話を旅に出させた
「自分たちがいる」
「あなた達以外にも人間がいる」と言うことを
誰かに伝えたかった

時は流れ
結局 電話達が他の人間に出会えたかど
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