Caps Lock/天野茂典
 

もう86歳の母である
今でも母を愛しているか
精神病院の壁をみつめて母を心配しつづけていたことはあったが
とにかく冷たい人間なんだぼくというエゴ
もうびしょ濡れになって
もうなんでもいいやという気になって
嵐のなかへ飛び込んでゆきたくなった
パトカーのサイレンはならない
信号が青になったり
赤になったり
黄いろのバカード握りながら
遠くの海を感じながら
ぼくはマックを飛びだしたのだった


フィービー*!


             *サリンジャー『ライ麦畑で捕まえて』より

              2004・10・9


 
戻る   Point(3)