Caps Lock/天野茂典
 
コーヒーを頼む189円だ
16:55分のバスを待つために
たった10分間の一日の憩いを求めるのだ
街路樹がざんざかざんざか揺れている
バスターミナルのちいさなタウン
商店街の明かりが点る
ネオンがさみしくなってくる
マックのかわいいおねえさんはミルクもシロップもいれてくれた
お客さんが少ないのだよ
まばらなんだ
ストローからのど越しに入ってくる珈琲の安らぎ
タバコに火をつける
もうなにも考えない
ぼくのちいさな一日の終わりなのだ
シャープのポータブル・MDウオークマンで
ジム・モリソンを聞きながら
夜の嵐を待つだけだ
自転車が倒れ看板が飛んでいる
滲んでくるんだ
[次のページ]
戻る   Point(3)