幸福な結合/真島正人
れた
たくさんの重要書類
それらの大切さ、重さは
木造建築の
小学校で覚えた大切さの手触りとは
ずいぶんと違っている
あの
嵐吹く日
倒れた木造建築は
夢を教えながら
夢を教えた子供の
体に突き刺さった
どのようにして
死んだのか
知る由もないが
おそらくは
血反吐を吐き
痛みに
のた打ち回った
それともすぐに
気絶したかもしれない
木造建築と
人間の体との
不幸せな
結合
異物による
突貫
工事現場から
新聞集配所まで
私の仕事範囲は
幅広く
いたるところで
笑顔を撒き散らしている
笑いが下手だと
年の近い上司に言われ
謝ったとき
その笑顔が一番マシだといわれて
私はうれしくて飛び上がった
飛び上がった私の体内で
かすかにきしむ音が
聴こえて
それが嵐の音
だろうか
それとも
木材のきしんだ音か
空想に
瞬時戸惑い
しかしそれも
消えた
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