宇宙のものまね/吉岡ペペロ
 
この悲しみはひとにやさしくなれる

いちど別れた女となんねんかぶりに会った

肌をふれあわせる以外のことを夜通しした

この女は最愛だったが

ふたりで制度のなかにくるまれることはなかった

朝また会うことを約束して別れた

女は電動自転車で家にかえり

こちらは新しいホテルで3時間だけねた


朝のひかりをさえぎる歩道の樹木の葉から

人生への肯定をもらいながら

出発じかんまでベンチに座った

そして駅までふたりで歩きだす

女は電動自転車に乗りながら

背広の腕をつかんで自転車とじぶんを支えていた

横断歩道で別れると女がするすると遠
[次のページ]
戻る   Point(14)