透明人間/izumi
ぼくは、ようやく探し当てた。
透明人間になれる薬を持ってる人だ。
どうして透明人間になりたいか、ぼくにもよく分からない。
ぼくは、ぼくがいなくなってもいいし、世界もそう思ってる。
死んじゃえばいい話だけど、それじゃあぼくだって後味悪い。
モヤモヤしながら、あっちへ逝きたくない。まぁちょっと遊んでこう、くらいの気持ち。
全財産をはたいて、ぼくは1粒のんだ。そのまま歩いて帰った。
朝、鏡の前に立ったら、ぼくはいなかった。
どれだけ近づいても、他の鏡を見ても。
ぼくは透明人間になった。こんなにワクワクゾワゾワするのは生まれて初めて。
さっそく外に出た。
切符を買わず
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