指でつくる言葉/朧月
大空に手を伸ばす
太陽でこの手を焼くために
ほしいほしいほしい
私は全てのまっとうなものがほしい
備わっていないものをほしがり
すでにあるものをみないで
それらは
当たり前に動くから
当たり前にそこにあるから
まっすぐに伸ばした腕は
短く その短さに驚き 気付き
まわりをみると
みな静かに息をしていた
吐いては吸うその動作に
理由という文字を見つけることで
費やす時間を
無駄というのなら
この先に自分がつくる言葉たちが
私の呼吸のどんな役にたっているのかを
文字によって伝えて
それを私であることにしたい
朝に包まれて
私は景色に潜む文字を掴まえる
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