定時/朧月
思い出なんかに頼らない
思い出なんかは忘れない
矛盾しているこの気持ち
たとえば看板なんかにね
まっすぐ生きろ
と書かれたら
ひょいと曲がってみたくなる
ああいう気持ちに似ています
赤信号ならとまれるけれど
黄色信号は気分次第
たったと走れる日の私
顔あげる前にとまる私
そういうことをいちいちね
数えないけど確立は
かなり上です この時刻
やたらと鼻腔が敏感です
そろそろ肩がさみしがる
あなたの重みを探し出す
空が赤味を帯びた頃
ホームの中のだれかさんを
待ってみたくなる時刻です
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