定時/朧月
 
思い出なんかに頼らない
思い出なんかは忘れない

矛盾しているこの気持ち
たとえば看板なんかにね

まっすぐ生きろ
と書かれたら
ひょいと曲がってみたくなる
ああいう気持ちに似ています

赤信号ならとまれるけれど
黄色信号は気分次第
たったと走れる日の私
顔あげる前にとまる私

そういうことをいちいちね
数えないけど確立は
かなり上です この時刻
やたらと鼻腔が敏感です

そろそろ肩がさみしがる
あなたの重みを探し出す
空が赤味を帯びた頃
ホームの中のだれかさんを
待ってみたくなる時刻です


戻る   Point(1)