歳月/ベンジャミン
悠々と空を飛ぶ鳥に生まれたかった
大地に根をはる木に生まれたかった
水を泳ぎまわる魚に生まれたかった
さなぎから蝶になるように
そんなふうに美しくなりたかった
彼らのような日々を過ごしたかった
いつ失われるかも知れないいのちを
ただひたすらに数えることもなしに
歳月が淡々と無情に流れることは
そういうふうに生きているからで
どれほど深く考えても答えは無い
無駄に生きないための努力をして
それを自分で感じられるかを大切に
そんないのちを与えられたのだから
けれど
悠々と空を飛ぶ鳥に生まれたかった
大地に根をはる木に生まれたかった
水を泳ぎまわる魚に生まれたかった
それくらい自然に近く在りたかった
風がなんべん吹いたとか
雨がなんべん降ったとか
そうやって流れる歳月を数えずに
ただひたすらに風や雨を感じたい
足もとの深くを脈打つ大地の息を
そのままのリズムで鼓動に変えて
生きたい
歳月を数えることなく
まさしくこの身体が歳月の
そのままなのですと言えるように
生きたい
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